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【要約】住野よる『 この気持ちもいつか忘れる』

どうも。シャオです。

今回は住野よるさん著の『この気持ちもいつか忘れる』の内容を、要約して紹介していきます。

『君の膵臓をたべたい』『青くて痛くて脆い』で有名な、

住野よるさんの8作目になる本著。

物語終盤の“頭を殴られたような展開”は「さすが住野よるさん!」という感じで、

隠された伏線を探すために、ついつい2度読んでしまいました。

初めての「小説」についての記事ですが、早速紹介していきます。

※ネタバレを含む内容になっています。時間がなくて要約を知りたい方に向けての記事になります。

登場人物

鈴木 香弥(主人公)

ザ・思春期の少年。世の中を達観している。ランニングが日課。

チカ(?)

違う世界の住人。目と爪が光っている。

斎藤(本名: xxxx)

クラスの暗いやつ。あまり話したことはない。

田中(本名: xxxx)

クラスメート。ときどき香弥にちょっかいをだす。アルミという犬を飼っている。

出会い

毎日がつまらなくて仕方ない香弥は、ランニングの休憩で立ち寄ったバスの待合所で”淡く光る物体”と遭遇する。

ノイズが入り、聞き取れない単語もあるが、

どうやら会話はできるようだ。

いくらか会話を交わしたあと、

「さようなら」と告げ物体は消え去った。

香弥は突然の出来事にうろたえる。

そして、興奮する。

香弥は、つまらない毎日の”終わり”を待っていた。

逢瀬

香弥は淡く光る物体のことを、「チカ」と呼ぶことにした。

そして何度か会って、話して、いくつかのことがわかった。

チカの世界では頻繁に戦争が起こる。

チカの世界では”レンアイ”の概念がない。

時間の流れる速度と、天気は一緒。

チカの血液は光っている。

会話をするだけで香弥はワクワクした。

それからも香弥は何度も、何度も、バスの待合所を訪れた。

来訪者

ある日、バスの待合所のドアがいきなりガラガラと開く。

現れたのは香弥の兄だった。

どうやら毎夜毎夜帰りの遅い息子を母が心配し、

その代わりに兄は尾行してきたらしい。

適当な言い訳をしたら、兄は帰っていったが、

気づくとチカの姿は消えていた。

思いがけない出来事が原因で、チカと二度と会えなくなることを想像し、

香弥は急に不安になる。

見えない君

「カヤ」

生涯で、ただ名前を呼ばれただけでこんなにも安堵する日が来るのだろうか。

再びチカに会えたことを香弥は喜ぶ。

香弥はチカに自分の兄がきて会話を遮ってしまったことを謝罪した。

すると、

「お兄さん、見てみたかったな」

「お兄さん、私に気づいていたのかな」

「私には香弥のお兄さんを見ることができなかったから」

と言った。

会話を続けていくと、どうやら

チカのことを”ここ”で見ることができて、話すことができるのは香弥だけのようだ。

それから「特異な存在」としてのチカから、「チカ」という香弥にとって特別な存在へと変わっていく。

君のために

ある日チカと話していると、どうやら”ある動物”に迷惑がっているようだ。

そこで香弥は、今までの会話の経験から、

二人の環境には共通点があることを前提に考え始める。

そして1つのことを思いつく。

「クラスメートの田中がアルミという犬を飼っている」

「2、3日アルミを誘拐して、チカの環境に変化がないか調べてみよう」

ランニングの時に、アルミと散歩をしている田中と会うことも多く、

なつかれていたので、田中の予定さえ把握すれば、

誘拐するのは簡単だった。

違うバス停に隠すことにした。

しかし2日目になってもチカの環境に変化はない。

罪悪感も重なり、香弥はアルミを飼い主の田中の家に返すことを決める。

違うバス停に到着する。

アルミはバス停からいなくなっていた。

しばらく探してみてもアルミは見つからない。翌日探し続けても。

休みが明け、教室にいくと飼い主の田中はいなかった。

昼休みになり、理由がわかる。

アルミは交通事故に遭い、死んでしまった。

香弥のキモチ

香弥は

「自分がアルミを殺してしまった。」

と後悔を、チカへ吐き出す。

チカはそんな香弥を慰め、癒す。

香弥はチカへ

「チカのことが好きなのかもしれない。」

と自分の気持ちを告げる。

決断

ある日、香弥は起き上がると足の裏に痛みを感じる。

どうやら窓のガラスが割れ、破片を踏んでしまったようだ。

近くに鉄板のようなものが落ちていた。

「チカに影響はないだろうか」

頭の中で、不安がふくらんだ。

チカに会うといつもより光が薄い。

チカは泣いていたようだ。

理由を聞くと戦争で部屋がなくなってしまったらしい。

香弥は自分に何ができるか考える。

続けてチカに話を聞くと、

戦争が始まる時に「サイレン」が鳴るらしい。

香弥は決断した。

「サイレンを壊す」

香弥は学校のチャイム(サイレン)を壊しに行く。

ご褒美

チャイムを壊し、香弥はチカのところへ向かう。

チカは

「明日からしばらく、戦争はない。そういう知らせがきた」

と香弥へ告げる。

「私はカヤに、何をしてあげられる?」

と続ける。

香弥は

「少しだけ、チカに触れさせてほしい」

と返す。

その日2人は、はじめてキスをした。

チカの世界に”レンアイ”の概念はない。

そんなことはどうでもよかった。

それからも何度もチカに会って、話して、キスをした。

「チカ、ありがとう。チカに、出会えてよかった」

と香弥はチカへ伝える。

チカは

「私も」

と返事をする。

「”初め”に香弥に出会えてよかった」

、、、初め?

嫌な予感がした。

聞きたくないこと。

言いたくないこと。

香弥はチカを質問責めにする。

チカは1つ、1つ答える。

「”ここ”で会っているのは香弥だけ」

「違う場所で女性と会っている」

香弥にとってチカだけが特別な1人だった。

しかしチカはそうではなかった。

それが香弥は悲しかった。

「香弥はフリをしていたんだね。」

次第にチカの話す内容にノイズが多くなる。

そして、チカは消えた。

香弥がチカに会うことは二度となかった。

時が経って

チカが香弥の前から消えて15年がたった。

ある時、仕事で訪れたラジオ局で高校時代のクラスメートの斎藤に出会う。

あまり話したことはなかったが、こんなに美人だっただろうか。

連絡先を交換し、食事をし、一緒に酒を飲む仲になった。

いつの間にか付き合い、相手の家に行くようになった。

香弥にとって流れに合わせただけ。

付き合おうが、それっきりだろうが、

どちらでもよかった。

告白

斎藤の両親に会い、結婚というモノが現実味を帯びてきた。

香弥の仕事に転勤の話が出た。

斎藤に伝えると、

「ついていこうかな」

と返された。

斎藤は自分の仕事に情熱も持っていた。

香弥が失った、情熱を。

それを斎藤に捨てさせることが香弥にはできなかった。

そこで香弥は自分がどういう人間かを告げる。

交際相手、

斎藤と呼んでいる本名須能紗苗に

真実

自分の人生の中で価値あるモノはチカと過ごした時間だけだ。

チカ以外のことはどうでもいい。

アルミの飼い主、会沢志穂梨のようなクラスメートは「田中

須能紗苗のような暗いやつとかは「斎藤」

そう呼んでいた。

今でもお前のことは心の中で斎藤と呼んでいる。

俺はそういう人間だ。

大人になって

斎藤こと、須能紗苗は必死に歩み寄るが、

香弥はすべてを拒絶する。

終いには、須能が

「私も同じような経験がある」

という言葉に腹を立て、一方的に別れを告げる。

須能も声を荒げる。

「自分の情けなさを全部チカのせいにして、彼女を汚してるだけだからね」

と最後に言って彼女は部屋を出た。

この気持ちもいつか忘れる

香弥は気づく。

チカへの気持ちが思い出せないことに。

きっかけは須能紗苗との会話を整理している時の違和感だった。

いてもたってもいられず、須能に電話をかけ、会うことができた。

思い切りビンタをされた。

「俺に、なにをしたんだ」

香弥は須能に問い詰める。

「何もしてない」

「そんなはずない」

問答が続く。

そして、

「忘れたんだよ」

「私達は、ずっと覚えていることなんてできないんだよ」

香弥は呆然とする。

「嘘だ」

「嫌だ」

「忘れたくない」

須能は答える。

「忘れていいよ」

チカへの思いの残滓が、

心の中に残っていた燃えかすが、

崩れて落ちていく。

「ごめん」

須能紗苗だけが聴いていた。

ぎゅっと香弥の手を握って。

まとめ、読了後

田中はもう使われているし。

『この気持ちもいつか忘れる』 38ページ

正しく名字を呼んだのに、彼女は何も反応しなかった。

『この気持ちもいつか忘れる』 158ページ

といった具合に、伏線は隠されていましたが、全く気づかず、2回目は必死に探しながら読み進めていました。

初めての「小説」についての記事でしたが、いかがでしたでしょうか?

要約だけ知りたい方のために、うまくまとまっていれば幸いです。

「斎藤」、「田中」といった登場人物の高校時代の描写。

チカとの日々。

香弥の心情。

いろいろ割愛して、まとめた記事になるので、

正直本著『この気持ちもいつか忘れる』の魅力を充分に伝えられていません。

是非、手にとって、

ご一読ください。

それでは、また。