【書評】『 人生の教科書 よのなかのルール』| 学生のうちに読んでおきたい、大人になるための教科書
どうも。シャオです。
今回は『人生の教科書 よのなかのルール』の内容の中で、筆者がとくに印象に残ったところを掻い摘んで紹介していきます。
タイトルでは学生のうちに読んでおきたいと書きましたが、社会人にとっても「よのなか」を生きていく上で大切な知識が書かれています。
また、
- コンドームの出身地
- 「適職発見ゲーム」60問の質問
- ゲーム制作の一連の流れ
- ”デザイナーベビー”の誕生
といった雑学に近い知識まで書かれているので、最後まで飽きることなく読むことができます。
もくじ
人を殺さないのは「自尊心」があるから
「なぜ人を殺してはいけないのか」
1997年、TBSの『ニュース23』という番組で、出演した男子高校生が「なぜ人を殺してはいけないのか分からない。自分は法律の罰が怖いから殺さないだけだ」と発言して、社会にショックを与えました。
この発言の根本には「承認の供給不足」があると本著には書かれています。承認欲求が満たされていないということですね。
その原因は皮肉にも、日本が近代成熟社会になったからです。
社会は近代成熟化したのに、学校教育は社会に合わせて変化できませんでした。
そしてまた大人も、子供に対しての承認の与え方を変えることができません。
それにより子供は十分な承認を得られなくなり、「ひきこもり」などの近代以前には聞かなかったような子供が増えることになったのです。
十分な承認を得られない→自尊心が育たない→→→なぜ人を殺していけないのか分からない
という流れができてしまったのです。
大人、子ども、その境目はどこに?
何歳になれば、まっとうな判断ができると考えられるのか。
何歳までなら、本人の責任より、環境の原因が大きいと考えるか。そして再教育できるのか。
13歳
軽労働ならば働くことができる(新聞配達、店番)
ただし、学校に行っているはずの時間には働くことができない。
14歳
罪を犯すと刑事上の責任を負うことになる。
15歳
就職することができる。
ただし、深夜労働や危険の多い仕事は制限される。
その他にも、
- 自分ひとりで名字を変更できるようになる
- 自分ひとりで遺言ができるようになる
- 自分の意思で他人の養子になることができる
- 自分が脳死になった時に、臓器を提供するドナーになることができる
と多くの権利を持つことになる、一つの”節目”の年齢です。
16歳
バイクの運転免許が取れるようになる。
18歳
凶悪な犯罪を犯した場合には死刑の判決を受けることがある。
その他には、
- 親の同意があれば結婚できるようになる。
- 普通自動車の運転免許が取れるようになる。
といったものがあります。
※初版発行が2005年なので、女性の結婚できる年齢を現在(2023年)に合わせました。
20歳
成年になる。親の同意なしに、すべて自分の意思で決定できる。
その他にも、
- 少年法の適用がなくなる
- 選挙で投票できるようになる
- 飲酒、喫煙が許される。
と一人前に扱われ、ほとんどの年齢制限がなくなる。
ここで、少なくとも法律上は正真正銘の大人になる。
ただ、政治家には20歳になってもなれません。
政治、経済、社会の仕組みをよく理解した上で、判断力、行動力、責任感が求められるので、多くの人生経験が必要とされ、年齢は高く設定されています。
息子が娘になりたいと言ったら、あなたはどうしますか?
もし、あなたが中学生の一人息子をもつ親だとして、その子が少々女の子っぽいということで、学校で激しいイジメにあっていたとします。
この子が自分を保っていくためには、いくつかの方法があります。
1つ目は家庭内で暴力をふるうことで、ストレスを爆発させる。
2つ目は弱者に暴力をふるうことで発散させる。
3つ目は自分の殻にひたすら閉じこもる。
4つ目は最悪の結果。自殺。
そして最後の選択肢、女の子っぽい性格を”個性”として、女の子として生きるという選択。
あなたなら、どれなら受け入れられますか?
筆者は結婚もしていないし、子供もいないので最大限に想像を働かせても限界はあります。
ただそれでも、自分の子供が自らの命を絶つようなことは決して受け入れられないし、一生、外の世界と関係を断つような生活も送って欲しくない。
また人様に迷惑をかけるような人間にもなって欲しくないので、暴力をふるうなら私にしてほしい。
、、、しかし中学生の息子が大人の男性である私に暴力をふるうことは考えにくいので、矛先は妻に向かうであろう。。
そうなると暴力も受け入れられない。
きっと時間はかかると思いますが、息子が娘になることを受け入れると思います。
日本で性転換手術が正式に実施されるようになったのは、1998年に埼玉医大が同大学の倫理委員会の答申を受けてからである。
と本著に書かれています。
凍ったタマゴ
凍結受精卵を使った体外受精児第一号は、1984年にオーストラリアで生まれた。
凍結受精卵は、排卵誘発剤によって採取した卵子に精子を混ぜて培養液の入った容器の中で受精させ、これを摂氏マイナス196度の液体窒素で凍結させて保存される。
技術的には、この方法で何百年でもとっておくことができるようになった。
この技術は、体外受精によって子供を得ようとする女性の負担を軽減する目的で開発された。
日本ではじめての凍結受精卵児は1989年のクリスマスの日に。2002年の時点でその数はすでに1万3316人にのぼっている。
と本著に書かれています。
物語を求めるのか? 体感を求めるのか?
ニーチェは
「意味が見つからないから良き生が送れないのではなく、逆に、良き生を送れていないから意味にすがろうとするのだ」
と言いました。
意味とは「物語」であって、物語は過去から未来につながる展開が重要です。
そして、現在を重要視する「体感」があります。
「そこそこ楽しいけど、意味がない」は、所詮=物語派
「意味はないけど、そこそこ楽しい」は、敢えて=体感派
あなたはどちらを求めますか?
成熟社会になるにつれて、物語→体感へ人は変わっていくと本著には書いてあります。
どっちつかずな意見ですが、筆者はどちらも大切に生きていければ良いなと思いました。。
まとめ
「よのなか」と「世間」はどう違うのだろう
「よのなか」とは自分から見ている世界
「世間」とは他人の目から見ている世界
と本著には書かれています。
読了後
「学生のうちに読んでおきたかった。。」
と私は心底思いました。
学校では教えてくれない社会の知識はもちろん、
それ以上にニュースや会話の中で話題になりづらい、複雑な事柄について、非常に考えさせられました。
記事の内容は抜粋したモノなので、本著の詳しい内容が気になる方は是非ご一読ください。
それでは、また。